怪我から最速で復帰する選手の「思考法」と「実践ロードマップ」
こんにちは!
TOESTなかたに鍼灸整骨院の川嵜です。
今回は、スポーツ選手が怪我からスムーズに、そして “進化して” 復帰するために、絶対に知っておくべき知識をコラムにまとめました。
もし、あなたが今、こんな悩みを抱えているなら、この記事はきっと大きな助けになるはずです。
- 痛みは消えたのに、復帰するとすぐに再発してしまう…
- 安静にしているだけで、一向に復帰の目処が立たない…
- やっと復帰できたと思ったら、また別の場所を怪我してしまった…
何度も痛みを繰り返すのには、必ず理由があります。
そして、そのほとんどは「正しい復帰のプロセス」を知らないことが原因です。
この記事を読めば、なぜ痛みを繰り返すのか、そして再発させずにスムーズに現場復帰するための「考え方」と「具体的な行動」が、面白いほどクリアになるはずです。
ぜひ最後まで読んで、怪我をする前よりも進化した自分を手に入れてください!
目次
- 復帰の成否を分ける、たった一つの大原則
- あなたは今どこ?復帰までの5つのフェーズ(現在地)を知ろう
- 【実践編】フェーズ別・具体的な復帰トレーニングの進め方
- 「焦り」が最大の敵。復帰を遠ざける3つの“心の罠”
- 「急がば回れ」が、最速の復帰ルートである理由
- 大丈夫。正しい復帰は、あなたを“進化”させる
1. 復帰の成否を分ける、たった一つの大原則
あなたが確実に、そして力強く現場復帰するために、何よりも先に知っておくべき大原則があります。
それは、
「痛みにだけフォーカスするな。怪我の原因となった“動き”そのものを修正せよ」
ということです。
「痛みがある状態で動けば、悪化するのは当たり前だ」
これは、誰でもわかります。
では、これはどうでしょう?
「痛みが消えたから練習を再開したのに、動くとまた痛くなる」
実は、これも当たり前なんです。
「え?痛みがなければ復帰できるんじゃないの?」
そう思いますよね。
しかし、そこに大きな落とし穴があります。
本当に大切なピースが一つ、抜け落ちているのです。
それは、
「痛みがない状態」と「正しい体の使い方」は、全くの別物
だということ。
痛みをかばっていた時の“悪い動きの癖”が残ったまま復帰すれば、患部に同じ負担がかかり、痛みがぶり返すのは当然の結果です。
だからこそ、痛みの改善と並行して、正しい体の動きを再習得する必要があります。
この視点こそが、スムーズな復帰の鍵を握っているのです。
2. あなたは今どこ?復帰までの5つのフェーズ(現在地)を知ろう
怪我からの復帰は、一直線の道のりではありません。明確な段階(フェーズ)があります。
まずは自分が今どのフェーズにいるのか、客観的に把握しましょう。
- 【フェーズ1:炎症期】痛みがある状態
- まずは痛みを取り除くことに専念する時期。安静、治療、セルフケアなどが中心です。
- 重要: この段階で無理は禁物。専門家(医師、治療家)の診断を仰ぎましょう。※3箇所以上回っても改善しない場合は、いつでもご相談ください。
- 【フェーズ2:回復期】痛みが改善してきた状態
- 痛みが和らぎ、「このまま治るかも?」と希望が見え始める時期。
- しかし、ここで焦って動くか、いぜんのままの身体の使い方で無理に復帰するか、その後のプロセスが大きく変わります。
- 【フェーズ3:再学習期】正しい体の使い方を習得する状態
- 今回、僕らが最も伝えたい最重要フェーズです。
- 多くの選手がこのフェーズを飛ばしてしまい、再発を繰り返します。
- 「痛みのない動き」ではなく、「パフォーマンスを上げるための正しい動き」を体に染み込ませる、非常に重要な時期です。
- 【フェーズ4:強化期】練習強度を上げていく状態
- フェーズ3で習得した正しい動きを維持したまま、徐々に練習の強度や量を高めていきます。
- 「正しい動きができている」という確信を持ってから、このフェーズに進むことが絶対条件です。
- 【フェーズ5:維持・向上期】パフォーマンスを上げ続ける状態
- 現場復帰を果たし、本格的にトレーニングを再開する時期。
- しかし、ここで終わりではありません。自分の体を常にモニターし、日々のケアを怠らないこと。体の些細な変化に気づき、食事や睡眠といった生活習慣まで含めて自分を管理する視点が、選手としてさらに高みを目指すために不可欠です。
一流の選手は、このサイクルを “継続” することで、高いパフォーマンスを維持しているのです。
3. 【実践編】フェーズ別・具体的な復帰トレーニングの進め方
では、具体的にどうやって正しい動きを習得していくのか。
ポイントは驚くほどシンプルです。
先に結論を言います。
「ゆっくり、大きく、痛みではなく“動き”にフォーカスする」
たったこれだけです。
これを、あなたの競技特有の動作に当てはめてみましょう。
【例:野球(投手)の投球動作】
※その他の競技別のポイントはコチラをご覧ください
別のコラムのリンクを貼る
復帰を目指すあまり、複雑な手順を詰め込みすぎると、かえって時間がかかります。
特に一人で取り組むなら、シンプルさが一番です。
意識するポイントは、以下の3つ。
- 意識: 遠投のように、体全体を大きく使うイメージを持つ。
- スピード: いつもの3倍以上時間をかけるような、超スロースピードで。(球の速さや距離は一切関係ありません)
- フォーカス: 「痛みが出ないか?」ではなく、「今、体のどこがどう動いているか?」という“動きそのもの”に意識を集中し続ける。
【最重要注意点】
絶対にやってはいけないのが、痛みを確認するように、恐る恐る投げることです。
「痛くないかな?」と体に問いかけた瞬間、脳と体は、怪我をしていた時の“痛みを出す動き”を無意識に再現してしまいます。
もし、この動きで痛みが出た場合、原因は2つです。
- まだ患部に炎症が残っている
- 無意識に“痛みを出す投げ方”になっている
その場合は、さらにスピードを落としてみてください。
痛みが出なければ、その「大きく、ゆっくり」とした正しい感覚を体に刻み込むように、何度も繰り返します。そして、その感覚を維持したまま、少しずつ動作のスピードを上げていくのです。
この原則は、どんな競技でも全く同じです。
あなたの競技の基本動作に置き換えて、ぜひ試してみてください。
4. 「焦り」が最大の敵。復帰を遠ざける3つの“心の罠”
正しいプロセスを理解しても、いざ実践すると多くの選手が“心の壁”にぶつかります。
あらかじめ、その正体を知っておきましょう。
罠①:他人との比較
自分が復帰のための取り組みをしている間に、ライバルやチームメイトがどんどん先へ進んでいく感覚。練習に参加できない疎外感と、「このまま置いていかれるんじゃないか」という不安。
うん、わかります。
凄まじい焦りですよね、、、
ですが、見方を変えれば、これは自分の体とじっくり向き合う絶好のチャンスです。
数ヶ月のブランクは、正しい体の使い方をマスターすれば、あっという間に取り戻せるどころか、以前よりもパフォーマンスは確実に上がります。
僕らのもとに来る方は、復帰後一気にパフォーマンスが上がり、周りからもびっくりされるということがよくあります。
だいじょうぶ。
今は、自分の体に集中して、あとから爆発させましょう。
罠②:痛みへのフォーカス
「また痛くなったらどうしよう…」という不安は、誰にでもあります。
しかし、痛みは意識を向けるほど感じやすくなる性質を持っています。
さらに、本来は治っているにもかかわらず、脳が「そこは痛い場所だ」と記憶してしまっているケース(脳の誤作動)も少なくありません。
だからこそ、意識を向ける先を変えるのです。
動作の前に「痛みが出ませんように」と祈るのではなく、**「よし、大きく、ゆっくり動こう」**とつぶやいてみてください。
「痛くないように」動くことは、結果的に怪我をした時の小さな動きを誘発します。
勇気を持って、大きく動いてみましょう。
罠③:「すぐに結果が出ないと意味がない」という思い込み
正しい体の使い方を再習得するペースは、人それぞれです。
特に、怪我をしていた期間が長いほど、悪い癖が深く染み付いているため、修正にも時間がかかります。
悪い癖を長い間練習してきたんだから、
それは当たり前のことです。
一度体に染み付いた癖を直すのは、新しい動きを何度も“上書き保存”していく地道な作業。ここに近道はありません。
強度をなかなか上げられない時期は、焦りが生まれるでしょう。
しかし、ここを乗り越えた時、あなたは単に“復帰”するだけではありません。
怪我という足かせが外れ、正しい体の使い方を習得した、**“進化した状態”**でフィールドに戻ることになります。
その時のあなたは、怪我をしたことがない選手よりも、ずっと深く自分の体を理解しているはずです。
めっちゃ強いですよ。
5. 「急がば回れ」が、最速の復帰ルートである理由
ここまで読んで、気づいたかもしれません。
最速で復帰するための唯一の方法は、結果的に、正しい手順を一つずつ着実に踏んでいくことなのです。
目先の試合のために無理をすれば、その場は乗り切れるかもしれません。
しかし、再発を繰り返し、あなたの選手生命全体で見たとき、パフォーマンスを最大限に発揮できる時間は確実に短くなります。
もしあなたが、選手として長く活躍し、本気で目標を達成したいと願うなら。
「急がば回れ」。
この言葉を信じて、着実に積み上げていきましょう。
※ 人それぞれ目的があると思います。とにかく直前の試合に間に合わせるという方も、僕らは全力でお手伝いします。
6. 大丈夫。正しい復帰は、あなたを“進化”させる
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事でお伝えしたことは、僕らが数多くの選手の怪我と向き合ってきた経験から確信していることです。
実際に、怪我で絶望の淵にいた選手たちが、このプロセスを信じて実践し、「驚くほどパフォーマンスが上がった」「怪我をする前より動けるようになった」と笑顔で報告してくれています。
もちろん、彼らも途中は焦り、不安を感じていました。
でも、今はみんな現場でのびのびと活躍しています。
そして、自分の体と向き合った経験を通して、多少の違和感なら自力で修正できるセルフケア能力まで身につけています。
だから、今、怪我で不安や焦りを感じているあなたも、
ぜったいにだいじょうぶ。
この記事が、あなたのスポーツ人生をより豊かに、より長く輝かせるための一助となれば、僕らにとって、これほど嬉しいことはありません。
やっていきましょう^_^
感謝